大阪都構想の住民投票、否決されるも、住民の選択は骨抜きに
大阪市を廃止し、代わりに基礎自治体として4つの特別区を置くという、いわゆる「大阪都構想」をめぐる住民投票が、コロナ禍の中で強行されたことは、大阪市民の記憶に未だ新しいかと思います。
昨年11月に行われたこの住民投票は、結論としては「否決」という結果となりました。
この住民投票は2015年にも行われ(その際も否決)、一度ならず二度までも否決となり、さすがに終わった話と思われましたし、未だ思っているかたも多いでしょう。
しかし、議会ではこの否決結果を骨抜きにするような条例が通るなど、実は民意を軽視した動きが議会では着々と進んでおります。
多額の税金を使い行われた住民投票の意義とはなんだったのでしょう?
コロナ対策を後回しにして行われた住民投票に意味は無かったのでしょうか?
今回は住民投票の結末と、その後の動きをまとめたいと思います。
「大阪都構想」「住民投票」とは何か?
党である維新の会が、彼らの政策として打ち出したものが、「大阪都構想」という政策です。
その内容は大阪市の都市計画権限などを府へ移譲することを柱とし、他にも各種の権限、財源を府へ付け替えようというものとなっております。
しかし、それが示す範囲は維新の掲げる政策のどの範囲までが都構想なのか?維新の政策は全て都構想なのか?
維新の主張を追っていってもこの内容は揺らいでおり、都構想の全貌はあやふやです。
過去には神戸や尼崎も特別区にして、都構想として大阪府→大阪都へ吸収という内容も政調会長が維新のイベントで語っております。
一方、二度行われた住民投票で問われたことは、「大阪市を廃止し、特別区を設置」という内容に大阪市民が賛成するか否か、のみを問うものです。
この根拠法として大都市法という法律が制定されており、この法律には廃止される大阪市民には「不利益になりうるので」必ず府市で作った特別区設置に伴う詳細を決めた「協定書」を作り、それの是非を市民に問うことになっています。
本来はこういう構図なのですが、住民投票を取り仕切った行政の副首都推進局は市民に対し、維新の政策ともいうべき部分の内容を資料なども配布しアピール。
とても公正とは言えない片寄った市民への情報提供をしました。本来であれば反対派の意見も同じく配らねばならないはずです。
そしてその上でなお、市民により「否決」されました。
これは大阪市の廃止のみがが否決されたとは到底言えず、ここに関わる維新の考え方が市民から否決されたと言うべきではないでしょうか。