2021.09.22
おおさか調査委員会 編集部

特別公務員「知事」と、地域政党「大阪維新の会」代表の二面性

吉村洋文・大阪府知事は、大阪府の特別職公務員の「知事」である一方で、地域政党「大阪維新の会の代表」という特定政党の代表でもあるのです。

知事職は1議員と違い、その自治体全体から1名選ばれるものであり、全体の奉仕者であることが求められ、特定政党の代表という立場との切り分けが大切になってきます。

知事の特権を用いて特定政党を「えこひいき」するようではいけないのです。

「都構想」でもおかしな維新びいき?

会見の背景ついたての切り分けも橋下知事・市長はまだ行政と維新の切り分けを意識していた部分がありましたが、松井・吉村体制ではこのあたりが曖昧になりつつあると指摘があります。

その象徴的な事例として「都構想」文言の行政文書での使用問題があります。

「いわゆる都構想」という表現を見たことがみなさんありませんか?昨年11月に住民投票が行われた大阪市廃止案の是非ですが、その案の正式名称は「都構想」ではありません。

「大阪市廃止・特別区設置」住民投票というのが正しく、あくまで「都構想」という言葉は政党の維新の会の政策上の言葉です。その指し示す範囲もあいまいであり、あくまで住民投票が行われるのは、大都市法に基づいた大阪市廃止と特別区設置の是非のみの話であり、その他の維新の思想も含まれる都構想という表現は明らかに不適でした。

これもまた「公私」の切り分けの話です。しかし行政文書では橋下徹時代は「都構想」文言は使わないという節度がまだありました。

ところが、出直しダブル選挙で吉村知事、松井市長体制になると、この方針を撤回し、行政の広報などで「都構想」文言を使ってアピールすることを指示します。

吉村知事就任直後の府政だよりが象徴的です。

府政だより 発行/大阪府府民文化部府政情報室 令和元年(2019年)6月11日 (外部リンク)

PDF版 府政だより(令和元年6月号)(外部リンク)

上記ページより発言を引用したものが以下のものです。

 大阪府知事の吉村洋文です。

 これまでの府市一体での取り組み、大阪の改革と成長、そして都構想の再挑戦について、多くの府民の皆さんからご信任をいただきました。皆さんの思いに応える、その責任の大きさを強く感じています。

 知事として府市一体で成長戦略を推進し、「成長する大阪」の実現をめざします。今月末に開催が迫るG20大阪サミットから、2025年の大阪・関西万博へと、途切れることのない成長・発展の流れをつくり、大阪を東西二極の一極として日本をけん引する世界都市にしていきます。

 そして、成長により得られた果実を、府内市町村とも連携を密にして福祉や医療、教育、安全・安心など、府民一人一人の暮らしの充実につなげていきます。そのためにも、大阪府市の方向性を制度として一本化する「大阪都構想」を実現できるよう最大限の力を注いでいきます。

引用元:府政だより No.427 「成長する大阪」の実現に向けて!

ここで問題となりかねないのが、大阪府という行政の広報のなかで、政党の用語「都構想」の文言をアピールしていることでした。

特定の政党に寄った発言を広報するならば、政党の政務活動費で印刷配布すべきものなのですが、公平性が問われる行政の広報物としてはいかがなものでしょうか。

行政が特定の政党に支配されている!?

維新の会といえば、役所の内部での政治活動を悪であると糾弾してきた政党のはずですが、いつのまにか特定の政党による私物化が進んでしまっているようです。

知事や市長の首長という職は、たった1人であり、その自治体住民全体の代表、全体の奉仕者なのであり、特定政党に便宜を図るようでは首長失格ではないでしょうか。

かつて、東京都の小池知事が国政政党・希望の党の代表を兼任するとなったとき、全国のマスコミはその知事としての中立性から問題性があると一斉にバッシングをしました。

結果として小池百合子・東京都知事は希望の党から離れ、一線を引くということになりました。

同じ課題は大阪にこそあるはずです。実際に数々の行政と政治の混同問題が起こっている現状は、政党幹部との兼任も原因のひとつとしてあるのではないでしょうか。

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