2021.09.16
おおさか調査委員会 編集部

新型コロナウイルスの自宅待機者を減らすための、いわゆる「臨時医療施設」を大阪府はインテックス大阪に作る予定で進めています。ところが相当に安普請の様相が見えてきています。

ベッドは東京五輪選手村で使われた「段ボールベッド」再利用

東京五輪で選手村で使われた「段ボールベッド」とマットレス、枕の無償提供を受け、無症状・軽症者用に再利用するという方針とのことです。

ABC関西ニュース

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大阪府の臨時医療施設について、府は東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使用した「段ボールベッド」を再利用する方向で検討を進めています。

新型コロナの病床がひっ迫した時に備え、大阪府は1000床規模の臨時医療施設を「インテックス大阪」に設置する予定です。

府はこれまでベッドなど備品の確保を課題としてきましたが、関係者によりますと、選手村で使用した「段ボールベッド」とマットレス、枕を無症状・軽症者用に再利用する方向で検討していることが分かりました。

選手村にベッドなどを提供した企業が、無償で譲渡する意向を示しているということです。

引用元:ABC関西ニュース
独自】臨時医療施設に東京オリンピック・パラリンピックのベッド再利用へ

段ボールベッドの強度はともかく、感染症の療養施設で使うことを想定されたものではなく、アルコール消毒などに支障があるのではないでしょうか?

「それくらい金出して買え」という話であり、大阪府のケチりぶりが際立つ話でしょう。

大阪府は今必要のない事業にばかり予算の放漫経営

一方で、大阪府は「今必要なのか?」という事業に予算を垂れ流しています。本当に必要な予算はそこではないでしょう。

最近も補正予算まで組んで広域一元化条例に伴う準備予算を計上していますが、今年度当初予算を見れば今ではなかろうという内容が大量にあり、酷い放漫経営です。

大阪府大と市大の大学統合は、コストカットだと思ってる方が多いでしょうが、実は統合を契機に、新たに森ノ宮に新キャンパスを作ると言い出しており、巨額の土建事業となっています。
このようなことを今、計上する必要ありますか?大学統合を数年停止しても誰も困りませんよ?
「空飛ぶ車」ってなんでしょうか?医療崩壊で死人出る中よくこんな予算新規に計上します。
万博で目玉にしたいのでしょうが、「今」ですか?

「国際金融都市」を目指すというよくわからない新たな話。こんなことしてる場合ですか?人の命かかってるのですよ?

「統合型リゾート」IR、いわゆるカジノ構想の予算も相変わらず。

あまりにも適当な「臨時医療施設」構想

この臨時医療施設、行政で運営するのではなく、民間業者に依頼するのだというのです。さらにその募集期間が異常です。

9/6吉村知事囲み会見
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=5zXV534VAtY&
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=5zXV534VAtY&

公募スケジュールはこうなっており、この会見での公募は発表から締め切りまでは3日しかない。

9/6(月)公募開始
9/9(木)書類提出締め切り
9/10(金)事業者プレゼン・選定委員会
9/13(月)事業者決定・公表

こちらに募集要項などありますが
https://www.pref.osaka.lg.jp/shobobosai/daikiboiryoushisetsu/index.html

9月9日15時締切。要件も案件が案件だけに当然厳しい。これだけのものを6日の夕方の会見で発表で、3日も無い中、取りそろえるってどんな業者なんでしょうか?

しかし吉村知事は自信満々です。

9/10吉村知事囲み会見

記者の「スケジュールは変わってないのか?応募状況は?」との質問に

吉村「変わっていない。今、僕も詳しくは聞いていないが、複数社最終の応募が。もちろん興味を示された事業者はもっといるが、最終の締めはそうだった。今日プレゼンをして、審査委員での最終の審査に入っている。複数社本気でやるという事業者から手が挙がっているという報告は受けている。」

またこれは設備だけで人の手配がどうなっているのかという話には

吉村「基本的にはもちろん医療従事者を含めた人の問題がある訳だが、モノとしては作っておく。作っておけば、最後は緊急事態になれば最後は何とか力業でやるというのが、政治家としてやらないといけないことだと思っているし。」

と特にプランが無いことを言っています。

6日の会見によれば、インテックス大阪で医療施設に使うのは6号館でそれ以外は、通常の催事を並行して行うというのです。

3・4号館との間には、囲いを設置して、分離するとのことですが、大丈夫なのでしょうか?吉村知事のどうにも深く考えてなさそうな雰囲気には不安が募ります。

事業者決定 グリーンホスピタルサプライ・日本パナユーズ共同企業体

月曜9月13日事業者が決定しました。

9/13吉村知事囲み会見
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=H0HlrJXt09U

グリーンホスピタルサプライ・日本パナユーズ共同企業体ということで、選んだ基準はまず価格とのこと。

話が二転三転する臨時医療施設構想

そもそもこの話、病院、病床ができる感覚でニュースを聞いていた方が多かろうと思います。

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監修に入った忽那医師曰く「病院というより、宿泊療養施設に入れない人たちが出た場合の避難所に近い」…と大きくトーンダウンした表現でこの施設を説明。

さらに今後整備される中等症患者向け200床については「治療をするというより、酸素投与や点滴などで入院までのつなぎとなる」と説明。

これは世界やよその自治体などでいうものとは違うのでは?
医療従事者の確保のめどもない話なのでいたしかたないのでしょうが、誤解をさせる見切り発車の説明を吉村知事はさんざんしたのではないでしょうか。

インテックスの他のイベントは平行実施されるとのことで、くれぐれもグリーンゾーンとレッドゾーンの切り分けは完璧を願いたいものです。甘い考えで「ダイヤモンドプリンセス号」のようなことになってからでは遅いのです。

段ボールベッドも、アルコール消毒しながら長い期間使うことに耐えるのでしょうか?

業者選定でもコストを最前面に出していた吉村知事ですが、必要な予算は使いましょう。ベッドくらい買ってください。なにもかもが認識が甘いのではないでしょうか?