2021.08.06
おおさか調査委員会 編集部

NHK調査によると、新型コロナで亡くなられた方は、全国の死亡者14,784人のうち、

  • 大阪:2,671人(18.07%
  • 東京:2,234人(15.11%

と、大阪が47都道府県で最も多くなっています。(2021年6月30日現在)

この数を人口10万人当たりに換算すると、さらに重要なことが分かります。

  • 全国:11.71人
  • 大阪:30.20人
  • 東京:15.88人

※人口は2020国勢調査結果より、全国126,226,568人、東京都14,064,696人、大阪府8,842,523人として計算。

なんと、大阪は東京の約2倍、全国平均の2.58倍の方が亡くなられているのです。

大阪の新型コロナ感染死亡者数が多い理由とは?

感染症対策で最も重視しなければならないことは「死亡者を出さないこと」です。

大阪の死亡者数が多いことについて、「高齢者が多いから」という意見を耳にしますが、本当にそうなのでしょうか?

内閣府「令和元年版 高齢社会白書」によれば、人口に対する高齢者の比率は

全国       3,558万人(28.1%)
大阪        242万人(27.5%)
東京        319万人(23.1%)

と、大阪が突出して高齢者が多い都道府県というわけではありません。

では、どうして大阪では新型コロナ感染死亡者が多いのでしょうか。

推測される要因とは

その1つとして、こんな要因があるんじゃないでしょうか。

2000年後半以降、大阪では、「行政の無駄を省く」という大号令のもと、急激に公立病院を減らしてきました。

市立病院の独立法人化、府立病院との統合・廃院など、大幅に削減してきました。もちろん、人員も大幅に削減しました。

総務省の統計によると、2007年の大阪府の公立病院には医者と看護師が8,785人いましたが、2019年には数半分以下の4,360人となっています。

これに加え、保健所は国の方針により、中核市に新たに設置したものの、大阪府の管轄する保健所を廃止したことから、府域全体としては減っています。

またPCR検査を行う研究所についても、大阪府と大阪市の施設を統廃合・独立行政法人化しており、現状の施設では変異株の検査すらできない状況です。

参考までに申し上げますが、独立行政法人とは、経営はその法人の責任で行うこととなるので、自分で利益を上げなくては成り立ちません。ですから、赤字が出るような採算性のない事業である感染症対策等を公立の施設のように積極的に行うことはできません。

もちろん、こうした保健・医療の縮減を行っているのは大阪だけではなく、全国的な流れではありますが、その先頭に立って縮減しているのは大阪です。その結果が招いたと言えるのではないでしょうか。

世界の中でもコロナ感染者数が圧倒的に少ないにもかかわらず、医療崩壊を起こした日本。その原因はこんなところにあるのかも知れません。改めての検証が必要です。

参考:<資料編:諸外国における医療提供体制について> – 厚生労働省

公的病院民間病院
日本約20%約80%
アメリカ約70%約25%
イギリス大半一部のみ
フランス約67%約33%
ドイツ約66%約34%
※非営利病院を含む