2020.06.15
都構想調査委員会

大阪都構想は大阪市を廃止して4つの特別区に分割する自治体再編です。政令指定都市の大阪市は4つの特別区にされます。政令指定都市と特別区では、税収の仕組みが全く違います。政令指定都市が税源をしっかり確保できるのに比べ、特別区は税源の少ない自治体なのです。

特別区は自立できない自治体?

大阪市の市税収入は昨年度の令和元年度予算で約7500億円でした。主なものは個人、法人の市民税、固定資産税、都市計画税です。特別区になると、このうち法人市民税、固定資産税、都市計画税は大阪府の税収となり、特別区に残る税収は個人市民税・軽自動車税・市町村たばこ税だけ。昨年度予算では2000億円程度です。7500億円から2000億円と大幅な減少となりますが、これは決まっています。

こうなると、特別区では、小中学校の運営をはじめとして市民生活を支える基礎自治体の仕事ができません。そこで、大阪府から「財政調整交付金」という形で税金を分けてもらうことになるのです。

東京ができているから大阪ができるとは限らない

現在、特別区があるのは東京都内だけで、千代田区、杉並区、練馬区など23の特別区があります。大阪都構想は東京がモデルですが、東京都から税金を融通してもらう税収構造が不安定なので、特別区からは「市になりたい」という声も出ています。それでも東京で特別区制度が維持されているのは、企業からの税収が豊かな首都・東京都は税収が潤沢なので、特別区からの「もっと交付金を増やして」という要求に対応できるからです。

しかし、大阪はそうではありません。大阪府は借金が多く税収も東京都よりはるかに厳しい自治体です。大阪府と4特別区の間で「(特別区)もっと交付金を出せ(府)府の財政状況からして出さない」「(府)交付金を減らす(特別区)減らされては運営できない」という税金の取り合いが起きる可能性すらあります。

第14回法定協議会 「資料2  副首都・大阪にふさわしい大都市制度《特別区(素案)》【時点更新版】」 のページ「 財政-4」

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/30429/00299089/siryo2.pdf