2021.09.24
シオンユニオン 髙畑次郎

音楽団の廃止、再スタートまでの道のり

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その決定に至るまでの経緯はここでは省略しますが、とにかくその後の楽団はどうなっていくのか、このまま90年の歴史にピリオドが打たれてしまうのか、そして楽団員の生活はどうなるのかという不安や様々な葛藤の中、将来を模索する日々が続きました。

楽団員が出した答えは「自立化」。「民営化」という言い方が一般的かもしれません。

音楽団が廃止されてしまう以上、存続させていくためには楽団員が大阪市を退職し、新たな団体を立ち上げて運営をしていく道しかありませんでした。そこであえて「自立化」という表現をします。

2014年に大阪市音楽団は廃止されましたが、同年に一般社団法人(現在は公益社団法人)大阪市音楽団を立ち上げ、2015年にはOsaka Shion Wind Orchestra(オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ)と名称を変更し、新たなスタートを切りました。

Shion」とは、それまで大阪市音楽団の愛称「市音(しおん)」から引き継いだものです。

Shionには、若く優秀な奏者十数名が新たに加わり、拠点をそれまでの森ノ宮から大阪南港のATCに移しました。

当初の3年間は楽団としても様々なことにチャレンジし、成功も失敗も繰り返しながら何とか運営が軌道に乗るように、とにかくがむしゃらに進んでいきました。

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オーケストラの運営は興行収入に加え、国や自治体からの補助金や企業・個人からの寄付なくしては経営が成り立たず、日本の主要オーケストラも公益社団法人として活動をしています。

私たちShionも自立化してから4年で公益社団法人となることができましたが、それはスタート地点に立てたに過ぎません。また、そこに至るまでには楽団員の人件費や雇用契約の見直しなど、決して順風満帆ではありませんでした。

楽団の「音」を絶やさないよう、また応援してくださるお客様に喜んでいただける演奏を続けていけるよう、一人一人が希望を持って頑張っています。生で演奏を聴いて、温かい拍手をいただく、これが私たちの何よりのモチベーションです。

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受け継いで伝えていくこと
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