大阪発 プロ吹奏楽団 オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラよりご寄稿いただきました
おおさか調査委員会では「大阪の短い政治史を振り返る」など、この間、大阪で起こった事象や考察について、外部ライターの寄稿も掲載しています。こうした掲載をするにあたっては、文化や芸術、教育の課題は切っても切れない課題です。
この度、大阪市から「自立化(民営化)」されたものの、「音楽は市民が豊かな生活を送るために必要なもの」として、懸命に頑張っておられる通称「Shion」、オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラのテナー・サクソフォン奏者の髙畑様より寄稿いただきました。
彼らからの心に沁みるメッセージを是非お読みください。
なお、オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラに対しますご支援は、下記ページでご確認の上、お申し込みいただけます。
応援・寄付について: https://shion.jp/support/
(おおさか調査委員会 事務局より)
「大阪にはプロの吹奏楽団がある」
オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ
テナー・サクソフォン奏者 髙畑次郎
これは私たちオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラの搬送トラックの荷台に書かれている言葉です。音楽監督である宮川彬良さんの顔が大きく写ったインパクトのあるトラックなので何処かで見かけられた方もいるかもしれません。
皆さんは吹奏楽というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。高校野球の応援や部活動、いわゆるブラスバンドのイメージが強いかもしれません。
吹奏楽は、管楽器と打楽器(弦楽器はコントラバスのみ)で編成され、ヨーロッパの軍楽隊がルーツです。
幅広いジャンルの演奏が可能で、今やほとんどの中学・高校には吹奏楽部があり、日本は世界的に見ても最も吹奏楽が盛んな国の一つになっています。
そんな日本の吹奏楽の黎明期から活動を行ってきたのが私たちプロの吹奏楽団「オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ」なのです。
オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラの前身である大阪市音楽隊は1923年(大正12年)に誕生しました。2023年には100周年を迎える日本で最も長い歴史を持つ交響吹奏楽団です。
戦後には大阪市直営となり大阪市音楽団と改称、現在も続く「たそがれコンサート」や小学校の音楽鑑賞会をはじめ、市民音楽教室や吹奏楽講習会など大阪市の文化振興や情操教育の一端を担ってきました。
また全日本吹奏楽コンクールの課題曲参考演奏や選抜高校野球大会入場行進曲の演奏、そして海外の作曲家の作品をいち早く紹介・初演を行うなかで、全国的に知られる、日本を代表するプロ吹奏楽団となっていきました。
そんな長い歴史と実績を持つ大阪市音楽団は、今から10年ほど前に存続の危機に直面しました。市政改革の一環として、大阪市音楽団の廃止が決定されたのです。