2021.10.22
おおさか調査委員会 編集部

大阪府では、新型コロナウイルス流行の第一波の時に、高校は一斉休校の措置が取られました。

そのため、第2波以降での休校に備え、吉村洋文・大阪府知事は、2020年5月5日に行われた府の「第15回新型コロナウイルス対策本部会議」の中で、2020年6月末までの間に府内の公立高校においてオンライン授業ができるよう体制を作ると宣言を出しました、

吉村知事:
やはり今後、第二・第三の山がくる可能性もあります。仮に学校が、今回臨時登校日を設定して、仮の話ですけれども、緊急事態宣言が5月末で終了して学校も徐々に再開しようかとなっている時に、また新たな波がきて休校というのもあるかもしれません。

朝野座長のアドバイスでは冬が特にその危険性も高まるんじゃないかということですが、僕もその可能性があるのではないかと思っています。なのでそう考えると、次の波が来ることを備えた対策を、今からやっていく必要があると思うんです。

これはオンライン授業です。ICT を使ったWeb 授業、オンライン授業というのを、府内の公立高校でも実施できるような体制を、今のうちに整えておく必要があると思います。

(中略)

期間は6月末までの間に、府内の公立高校においてWeb 授業・オンライン授業ができるように、是非、教育?によって大号令をかけてください。
やり方はそれぞれの学校に任せる、このやり方と決めてやるとなかなか上手くいかないこともあるでしょうし、それぞれの学校でどの媒体を使ってどうやるかは任せるけど、とにかく結論として、6月末までのオンライン授業ができるようにやるようにということは、是非方針決定をしたいと思います。
そのために必要な予算措置があるのであれば、これはしっかりと措置をしていきたいと思います。一人一台タブレットとかそういうのはきちんとやるから、そこには大きな予算をかけてやることは決まっていますが、基本的に今回のケースは、あくまでも時間との闘いなので、今あるものを使ってWeb 授業やる、オンライン授業をやる、ある一定の学校、例えば高津高校なんかでは進んでやっているようですし、そういったものを参考にしながら、とにかくそれを 6 月末までに整えるようにと、ある意味不十分、100 パーセントではないかもしれないけど、整えるようにという方向性を是非、実施したいと思います。

(中略)

【スマートシティ戦略部長】:
すでに、スマホですとかタブレットの業者とは、打ち合わせを始めていまして、持っていない人をどうするかというところに関しては、大阪府全体で相当数まとまれば、かなり金額的にも安く購入できる方法もありますので、そういうことも含めて色々案を考えていきたいと思います。

(中略)

【教育長】:
そこはとりあえず今あるのを使って、どうしてもデバイスを持っていない子供には貸出をするというのを含めてやれば、ある程度短期間でも対応は可能ではないかと思っています。まずそちらの方を模索させていただくことと並行して、いわゆる色んな事業者とは、タイアップできないかどうかというのを模索したいと思います。

吉村知事:
まず、これは結論を決めないと進まないで、6 月末というのを結論にして、やり方はもう各校に任せる。支援策もこちらでも必要なものがあれば、予算だてはしていく。ただ、できるだけ自由、それぞれの各校の裁量を最大限に配慮して、だけど結論は 6 月末で決める、というやり方で進めてください。

【教育長】 :
はい。必要な経費はよろしくお願いいたします。

引用元:第15回新型コロナウイルス対策本部会議(外部リンク)

また、テレビ番組に生出演の際も、ここを誇らしく宣言し、府民は喝采しました。

ABCのキャストに生出演し、視聴者からの「いつオンライン授業ができるようになるのか知りたい」との問いに、2020年6月末には全ての府立高校でオンライン授業ができるようになると断言しています。

引用元:ABC キャストより
引用元:ABC キャストより

吉村知事:

6月末までにはオンライン授業ができるようにしていきます。まず府立高校について。
市町村の小中学校、これは市長村長、まあ大阪市では松井市長が陣頭指揮を執ることになると思いますが、できるだけみなさんも早く進めていくいうことで、大阪府全体のオンライン授業化というのを進めていきたいと思ってます。

6月末までにまず仕組みを作る。それは大号令をかけました。これに対するお金、なんとか捻出すると決めましたんで、ですので6月末までには府立高校ではできる。それに加えてそれぞれの市町村、市町村長のスタイルによりますが、できるだけ早くオンライン授業をやる、ということになると思います。

というのはなんでこれをやるかっていうと、今度、今回解除の基準を満たしたとしていつ第二第三のコロナの波が来るかわかりません。そんときには新たに「危ない!」という指標も作りましたから、それに対して休業の要請するをお願いすることが来るかもわかりません。

それは今年の秋冬になるのかこれはコロナがどうなるかわかりませんから。未来は予測できないところもありますんでね。

そんときに今回と同じように休校で終われせるんじゃなくてきちんとオンライン授業できるようにしないと教育格差が生じます。

だから次の波に備えてやっていこうというのを今やんなきゃいけないのでオンライン授業というのは6月末までには府立高校は全てできるようにこれはやります。

引用元:第15回新型コロナウイルス対策本部会議(外部リンク)

第15回新型コロナウイルス対策本部会議の議事録を見ても、なんらオンライン授業の体制を整えることに支障は無いように見えます。吉村知事も「必要な予算は出す」と繰り返し言い切ってもいます。

2020年6月24日の定例記者会見でも「準備は予定通り進んでいる」と断言

約束の6月末が迫る6月24には、吉村知事は定例記者会見を行い、「予定通りオンライン授業の準備が進んでいる」ことを断言しています。

大阪府立学校オンライン授業整備完了へ 吉村知事「予定通り進んでいる」(THE PAGE) – Yahoo!ニュース

 大阪府の吉村洋文知事は24日午後、大阪府庁で定例会見を行い、府立学校で6月末までにオンライン授業の整備について「6月末には全府立学校でオンライン授業ができるように進んでいる」と進捗状況を明らかにし

大阪府の吉村洋文知事は24日午後、大阪府庁で定例会見を行い、府立学校で6月末までにオンライン授業の整備について「6月末には全府立学校でオンライン授業ができるように進んでいる」と進捗状況を明らかにした。
(中略)

「ほとんどの学校で体制の完了の報告を受けている」

会見ではそれらの進捗状況にかんする質問があり、教育庁関係者が「府立高校、一部の支援学校につきまして、生徒に試行実施、配信をしてその確認を行っているところです。ほとんどの学校で体制の完了の報告を受けている」と説明した。

また、大阪府では通信環境等が整っていない家庭に対し、貸与するモバイルルーターを提供してくれる事業者の募集を行い、事業者の決定後、必要な生徒には配布が完了したという。

吉村知事は「予定通り進んでいます、6月末には全府立学校でオンライン授業ができるように進んでいるということです」と話していた。

引用元(外部リンク):大阪府立学校オンライン授業整備完了へ 吉村知事「予定通り進んでいる」(THE PAGE) – Yahoo!ニュース

この会見の報道を見て、吉村府政で次の新型コロナウイルスの第2波、第3波の準備も万端と安心した府民も多いのではないでしょうか?

端末の1人1台体制は、2021年3月になっても行われていなかった

これまでの知事の発言の口ぶりでは、とっくに1人1台の端末の準備など当然に進んでいて、休校いつでも対応できる状況になっていると思われたのではないでしょうか?しかし事実はそうではなく、端末すら買いそろえていない状況が明らかになります。

大阪府 令和 3年2月定例会教育常任委員会 03月15日

山田けんた府議と高等学校課長のやりとりを府議会議事録から引用します。

<引用>
◆(山田けんた君) 大阪府では、学生と教職員とのコミュニケーションや学生同士の交流も重要な要素というお考えを確認させていただきました。ですが、やはりそうであるならば、交流機会の減少している今の大学生に対して、機会損失を補償するべきではないでしょうか。府立大学の授業料は国立大学の標準学費と同額ということです。一方、大阪府内には五十五の大学がありますが、そのうち九割以上は私立大学です。府内の多くの学生は私立大学に通っています。学費は国公立の倍以上します。大阪府が私立大学の学費を決めるという立場にないということは承知していますが、府内大学生はコロナ禍で大学卒業後の就職も不安視される中、私立大学でも従来どおりの教育機会を得られていないという状況です。府立大学の新キャンパスに九百億円かけるのですから、今、目の前で困っている大学生の支援もしっかりと行っていただきたいと思います。
 次に、府立高校の一人一台のタブレット端末等の整備についてお伺いいたします。
 ただいま取り上げましたように、コロナ禍で大学ではオンライン授業やオンデマンド授業が中心となりました。また、小中学校においても一人一台端末の配備が進んでおり、府立高校も来年度からという状況です。一人一台端末の整備に当たっては、生徒が安全にかつ効果的に授業を受けられるような機能を備えておく必要があります。例えば小中学校への導入を進めている自治体においては、教員によって生徒のタブレット操作を一斉に停止できる機能がつけられているとも聞いています。ほかにもアプリケーションのインストール制限機能や有害サイト等の閲覧ブロック機能など、端末を活用する生徒がトラブルに巻き込まれないような仕組みも必要かと思います。また、生徒の操作中の画面を確認でき、閲覧履歴をきちんと確認できるようにする必要もあると考えます。
 今、小中学生からは、一人一台端末について、いろいろ工夫すればゲームやユーチューブができますとか、結構自分たちでも抜け道を探せますという声も聞こえています。高校生ならばさらに対策の必要性が増すでしょう。一人一台端末を整備する上で、このようなセキュリティー対策や運用面での対策が必要かと思いますが、どのように対応を考えられているのか、高等学校課長にお伺いします。

◎高等学校課長(大久保宣明君) 一人一台端末の整備に当たりましては、有害サイトをブロックしたり、閲覧履歴を確認したりできるフィルタリングソフトや、授業において教員が生徒の画面を管理できる機能を備えたソフトの導入を考えております。
 加えまして、既に全府立高校に導入していますクラウドサービス、これを活用することによりまして、生徒のアプリケーションのインストール管理も行うことができますので、このような機能を活用しながら、生徒にとってより安全なICT環境が整備できるよう取り組んでまいりたいと存じます。

引用元:大阪府 令和 3年2月定例会教育常任委員会 03月15日 府議会議事録より

前年の2020年6月4日には、Google社のオンライン教育ツールを導入する旨が発表されております。

無効な URL です

<引用>

大阪府教育委員会では、ICTを活用した新時代の教育を実現するため、府立学校におけるICT環境 の整備とICTの効果的な活用の実現に向け、本年度より「スマートスクール推進事業」を立ち上げ、そ の推進を図っております。

 併せて、新型コロナウイルス感染症の第2波・第3波に備え、6月末日までに府立高等学校等でのオ ンライン授業体制を構築することとしております。

 これらの実現に向けて、大阪府教育委員会では民間企業が提供するクラウドベースのサービスであるG Suite for Educaitonを採用するとともに、Google for Educationの協力のもと、府立学校教職員等 を対象とした研修等を実施することで、オンライン上で教員と児童・生徒間の課題配信や提出、双方向型授業の実現に向けた支援ツールとしての活用を推進してまいります。

引用元(外部サイト):府立学校におけるオンライン授業確立に向けたクラウドサービスの利用について

議事録で高等学校課長が言ってるサービスはこのG Suite for Educaitonのことかと思われます。しかしうまく活用しきれていないのではないか?との疑いがこの山田府議とのやりとりでは懸念されます。

1人1台端末も実現できていないなど、話と随分違うことになっています。

知事の説明では、府立高校がむしろ先行してオンライン授業体制を全校で達成し、市町村の小中学校は後追いのような説明でしたが大阪市はトラブルだらけとは言え、少なくともお金で解決できる話である1人1台体制は早々に実現しており、逆転しています。

なお大阪市のオンライン授業を巡る不備はこちら

大阪市のオンライン授業は体制が整わず大混乱。その原因は都構想!?

3度目の緊急事態宣言では、大阪市の小中学校ではオンライン授業が実施されましたが、混乱が起こり、オンライン授業など実質的にはできていない状況になってしまいました。 この原因の1つに、実は大阪府と市が、かつて住民投票で否決になった「大阪都構想」を実施しようとしていたことを挙げたいと思います。 オンライン授業が実施されるまでの経緯 オンライン授業の導入がなぜうまくいかなかったのか、これまでの経緯をなぞっ…続きを読む

2021年4月の変異株による第四波で医療崩壊の大阪でも休校にはならない府立高校

2021年4月の第4波では大阪市の小中学校は、緊急事態宣言で原則休校となりました。

大阪市立小中学校、宣言発令なら原則オンライン授業に – 日本経済新聞

大阪市の松井一郎市長は19日、政府の緊急事態宣言が発令された場合、大阪市立の小学校と中学校を原則オンライン授業に切り替える意向を示した。休校はしない考えも明らかにした。大阪市は市内の小中学校に学習用端末の導入を進め、3月末までに1人1台の配備を終えた。松井氏は「基本オンラインとし、医療従事者らエッセンシャルワーカーの子どもなど家庭で過ごせない

ところが、府立高校はかたくなに休校措置は取られませんでした。

2020年の第一波では休校措置が取られましたが、それよりはるかに感染拡大し医療崩壊が起こり、変異株により若年層にも危険性が言われだしている中、小中学校と歩調を合わせない府立高校の対応はおかしなものでした。

大学もそれぞれオンライン授業が実施され、大阪市の小中学校もトラブル続きでまともにできたとはいいがたいですが、少なくともオンライン授業をやろうとし、そんな中、府立高校生だけは通常の通学が行われていたのです。

変異株の蔓延により医療崩壊を起こした第4波真っ最中の大阪教育長からの各学校への指示がありました。

(外部リンク)緊急事態宣言下の教育活動等について(府立学校)

出典元 鑑_緊急事態宣言下の教育活動等について(府立学校)より

【別添資料】府立学校における教育活動等について(4月23日)より

【別添資料】府立学校における教育活動等について(4月23日)よ

ここまで感染への危機感を言いながら、あくまで「感染症対策のさらなる徹底を図りながら、分散登校や短縮授業は行わず、通常形態で教育活動を継続する。」

…と、通常授業の実施に固執。オンライン授業はどうしても不安で登校したくない生徒への対応に限定した話になっています。

本来ならば小学生よりよっぽど扱いにも慣れ、高校生はオンライン授業に適しているはずです。

大学生はみなオンライン授業ですが、高校生にはできないのでしょうか?そんなわけはなく、これは設備の準備ができてないがゆえに一斉休校でのオンライン授業に支障という話ではないのでしょうか?

1人1台端末も揃えず、都構想の住民投票やカジノ調査費に散財という、吉村知事の無責任

1人1台体制ができていれば、皆揃いの端末に揃いのアプリケーションで統一でき、「G Suite for Educaiton」を用いて容易にオンライン授業の体制へもっていけたのではないでしょうか。

端末すら揃えれていないということは、明らかにオンライン授業の体制作ることにマイナスになっています。

吉村知事がさんざんテレビ出演や記者会見で言い切っていたオンライン授業の体制を全府立高校で揃える話は、誇大広告がすぎたと言わざるを得ません。

結局医療崩壊を起こし、第一波をはるかに超える危機となった第四波においても、休校してオンライン授業はできなかったのです。あれほど必要性をご自身で述べていたにも関わらず、これは無責任ではないか。

しかもこの間に不要不急のいわゆる都構想の住民投票を巨額の予算をかけて実施したり、カジノ/IR調査費用を計上したりというのですから、いったい吉村知事はどこを見て政治を行っているのでしょうか。

テレビ出演では威勢のいいことを言いますが、裏を取ると話が違っています。まず公職にある知事として、府民の安全安心を第一に行動していただかかねば困ります。これは人の命がかかっている案件なのですから。