2020.10.31
都構想調査委員会

いわゆる大阪都構想の根拠法は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律 」(通称、大都市法)といいます。

これについては、

  • 否決されたときの想定が全く無い(なので決着ついたずなのに議論が続いて今回再住民投票)
  • 最低投票率の設定が無い
  • 通常の議員選挙のような制限が無く、広告に限度が無く、金のあるほうが有利
  • 通常の議員選挙のような制限が無く、投票当日も活動可能で、投票所で一触即発

などなどいろいろ言われています。

しかし、ほとんど語られない最大の問題点があり、これが知られていません。
それは「施行令」になります。

大都市法14条
第十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

(外部リンク)e-GOV:大都市地域における特別区の設置に関する法律

施行令とは実際の進め方を定めたものですが、法律条文は読んでも、その実際の進め方を決めた施行令まで見る人が少なくまったくといっていいほど今回触れる部分の危険性が知られていません。

「最後の大阪市長」が議会も区長も居ない中、独裁者となる

施行令には大都市法最大の欠陥、「大都市法施行令施行令第13~15条」、すなわち

「区長区議会が選挙で選ばれるまでの期間、50日間、最後の大阪市長の独裁期間がある」

という特徴があります。

大都市法施行令

第二章 特別区の設置があった場合における特例

(職務執行者の選任)

第十三条 法第二条第三項に規定する特別区の設置(第二十五条を除き、以下「特別区の設置」という。)があった場合においては、従来当該特別区の地域の属していた関係市町村(以下「旧所属市町村」という。)の長であった者(地方自治法第百五十二条又は第二百五十二条の十七の八第一項の規定により旧所属市町村の長の職務を代理し又は行う者であった者を含む。以下「旧所属市町村の長であった者」という。)が、当該特別区の区長が選挙されるまでの間、その職務を行う。

 前項の場合において旧所属市町村が二以上あるときは、旧所属市町村の長であった者のうちからその協議により定めた者が当該特別区の区長の職務を行う。

 前項の場合において協議が調わないときは、関係道府県の知事は、旧所属市町村の長であった者のうちから当該特別区の区長の職務を行うべき者を定めなければならない。

(暫定予算の調製等)

第十四条 特別区の設置があった場合においては、前条の規定により当該特別区の区長の職務を行う者(以下「職務執行者」という。)は、予算が議会の議決を経て成立するまでの間、必要な収支につき暫定予算を調製し、執行するものとする。

(条例等に関する暫定措置)

第十五条 特別区の設置があった場合においては、職務執行者は、必要な事項につき条例又は規則が制定施行されるまでの間、従来その地域に施行された条例又は規則を当該特別区の条例又は規則として当該地域に引き続き施行することができる。

(外部リンク)e-GOV:大都市地域における特別区の設置に関する法律

この大阪市廃止から50日の間というのは大都市法で決まっている話です。

大阪市のサイトのQ&Aにもあります。

引用:(外部リンク)大阪市:議会はどうなるの?

「最後の大阪市長」は、大阪市廃止後、区議会も区長も新たに選挙で選ばれてない状況で「職務執行者」となり、全ての権限を握り、代行することになります。

これは極めて危険なことで、行政をチェックするべき議会が無く、全ての権限を最後の大阪市長が握り、全てを専権することができる可能性があります。

もはや特別区設置協定書すらこの50日間でいかようにも変化し放題であり、これまでの真摯な議論すらちゃぶ台返しもあり得るでしょう。

もはやこれでは協定書などあって無いようなものです。大都市法は重大な欠陥があります。

維新側はこの仕組みを知っています

この話、どうも橋下市長(当時)も松井一郎市長も認識しているようなふしがあります。

橋下徹氏は前回の住民投票前に「協定書に全て書かれているわけではない」と議会で答弁していましたし、松井一郎市長も今回「準備期間に市長が協議して決める」といった趣旨の発言をしています。

この大都市法施行令委に基づく、独裁期間の存在を知っているのではないでしょうか? このような欠陥法律ともいうべき大都市法での杜撰な大阪市解体は危険性がたくさんあります。

「最後の大阪市長」にあなたは全権委任、白紙委任するほど「最後の大阪市長」をあなたは信用できるのでしょうか?

そこをよく考え、投票行動を行う必要があります。