2021.07.15
おおさか調査委員会 編集部

大阪市のオンライン学習は文科省に認められなかった

大阪市では、今回の対応によって授業数が「50時間程度」不足し、その穴埋めをしなければならなくなったのです。

松井市長が「原則オンライン授業」としたものは、実際には双方向通信ができず、一方通行の「オンライン学習」となってしまったこと、そして、それすらできずにプリント学習が大半だったことから、文部科学省は、これらを「授業」として扱うことができなかったためです

文科省は学校教育法施行規則77条の2で、家庭でのオンライン授業を認めてはいるものの、それはあくまでも「より効果的な教育を実施するため必要である場合」、「教育上適切な配慮がなされているもの」という条件が付されているのです。

一方通行の動画の垂れ流しが、「より効果的」で「配慮がなされているもの」になるはずがなく、文部科学省に授業と認められませんでした。

その「50時間程度」の不足の穴埋めが、各学校でいま起こっている、あるいはこれから起こるであろう、夏休みの短縮や、土曜授業、7時間授業などです。

いずれのものであっても、子どもたちにとって大きな負担となるのは間違いありません。

昨年度の長期休校明けの過密日程の中で、子どもたちへの学習への影響や、心身のストレスが大きな問題となりましたが、今回も同様のことが懸念されます。

松井市長は、この授業時間数不足が指摘されてから、「対面授業と同じようにカリキュラムの日数に入れ込まれないのか。大臣に直接言います。『入れてくれ』って言います。」と発言しています。

このことからも、この授業数の問題が起こることは、当初は想定できていなかったのは間違いありません。

大阪市教育委員会「各学校で対処してほしい」

大阪市教育委員会は、この授業数不足を受け各学校に、「1年間で決められた教育課程が終わるように、各学校で計画を見直し、対応してほしい」と通知しています。

「原則オンライン」はトップダウンで求めたにも関わらず、その穴埋めは「各学校で」と、現場に丸投げしているように見えます。

トップの判断が、結果として子どもたちの学習や、教育現場への負担に繋がってしまっているこの事案。

「大阪市だけ」のこの状況は、当事者の大阪市民の子どもたちとその保護者の目には、どう映っていることでしょうか。

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