2021.10.11
吉富 有治

今後どうなる?都構想

ところで、その維新版・都構想である。住民投票では2度も大阪市民から否決されたことで3度目はないと見られている。共に維新のトップである松井一郎大阪市長と吉村洋文大阪府知事も3度目の住民投票は否定している。

ただし、自分たちは住民投票を仕掛けないと語っているだけで、トップが交代すればどうなるかはわからない。事実、今でも3度目の住民投票を仕掛けて都構想の実現を願う維新議員は少なくない。

では、反対派はどうすればよいのか。

嫌な臭いは根本から絶たないとダメなように、都構想の実現を阻止するなら根拠法を廃止する以外にない。2023年4月の統一地方選で維新の議席を減らすことも方法の1つだが、現状の自民党と野党の不甲斐なさを見ていると、あまり現実的ではない。

だったら、根拠法である「大都市地域における特別区の設置に関する法律」、通称「大都市法」を廃止するか停止する以外にないのだ。

実は、昨年11月から自民党大阪府連所属の国会議員らが中心となり大都市法の停止に向けた動きを見せている。停止法の条文の雛形まで完成していた。

ところが自民党大阪府連会長のスキャンダル辞任問題などの影響と国会の終了で現在は継続審議になっている。さらに言えば、大都市法は自民党と公明党、民主党やみんなの党、新党改革(共に当時)など超党派の国会議員らによる議員立法で、とりまとめたのは当時の菅義偉衆院議員。総理が座長としてとりまとめた大都市法を停止することに腰が引けた自民党議員が多かったのは事実である。

だが、自民党総裁と総理は菅から岸田文雄に交代した。次の国会で大都市法停止法が成立する可能性も高まった。衆院選で維新が大勝して与党入りしない限り、都構想と住民投票の根拠法である大都市法を葬ることはできる。そうでもしないと、大阪はいつまでたっても都構想の亡霊から逃げることはできないだろう。(文中・敬称略)

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