2022.03.16
野村 友昭

おわりに

先に大阪カジノ・IR事業計画の杜撰さについて述べたが、大阪夢洲にはシンガポールやマカオのようなカジノとしての優位性は皆無であり、それどころか立地、アクセス、災害リスク、汚染土壌と軟弱な地盤などのネガティブな要素は挙げればきりがない。

何より問題なのは、これほど巨額の税金を支出する事業に対し、行政が情報を開示しないなど、不誠実極まりない態度を取り続けていることである。

大阪カジノ・IRの契約期間は35年間で、そこからさらに30年以上の延長が可能である。

今のままでは大阪カジノ・IRは、事業としても政策としても大失敗に終わり、大げさでなく大阪の100年の未来に渡って大きな負の遺産を残すことになるだろう。

大阪府・市の行政、推進派の政党や政治家、出資する企業、融資する金融機関の中にも、この出鱈目な事業計画を冷静に分析、評価できる方々は、必ずおられるはずである。

経済成長を「博打ばくち」に託すことの異常さに、倫理的な違和感を感じている方々もおられるはずである。

どうか勇気をもって「反対」の声を上げていただきたいと切に願う。

踏みとどまることのできる「最終期限」はもう目前に迫っているのである。

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