2021.08.10
吉富 有治

維新政治で本当に大阪は成長したのか?

維新は「大阪は成長した」と胸を張るが、その「成長」の意味はあまり具体的ではない。

経済の「成長」を言うのならば、朝日新聞は次のように指摘している。

「経済成長率をみると、全国に比べて大阪の経済の伸びが大きかったわけでもない。10~17年度の国の名目経済成長率は平均年1・3%で、大阪府の成長率(年1・1%)を上回る。

国内で生んだ付加価値の総額を示す『国内総生産』(GDP)に占める『府内総生産』の割合は、10年度の7・4%から17年度は7・3%とわずかだが下がった」

(外部リンク)2020年10月22日付け|朝日新聞

今は新型コロナウイルスの影響で見る影もないが、かつて大阪に外国人観光客が増えたのは必ずしも維新政治だけの功績とは言えない。

その背景には為替相場の変動や入国ビザの要件緩和、関西国際空港を中心にLCC(格安航空会社)の就航が増えたこともある。

決して大阪府市や維新だけの努力で外国人観光客が増えたのではない。

橋下氏が変えた、行政とメディアとの関係

また橋下は、行政とメディアとの関係も変えた。これまでの府知事、市長は通り一遍の記者会見で終わっていた。

だが橋下は違っていた。記者が納得するまで時間をかけ、ときに無制限でつき合うこともあった。

橋下は不勉強な記者には厳しく当たり、勉強熱心で食い下がってくる記者には敵対心を見せながらもときに敬意を払っているようでもあった。

橋下の会見スタイルには記者も当初は戸惑いながら、徐々に鍛えられていったようである。

もっとも、記者としての私は、いつしか橋下から「インチキジャーナリスト」の烙印を押されてしまった。

私の橋下府政と市政への批判が目に余ったからだろうが、政治家や権力者に記者が褒められたらオシマイだと考える私にすれば、「インチキジャーナリスト」の“称号”は最高の栄誉だと思っている。

最後に、かつて大阪市の幹部が私に語った言葉を紹介しておく。この幹部は橋下の大阪市政を間近で見続けた人物である。

次のページ
大阪市政を間近で見続けた幹部の言葉
1 2 3 4 5