2021.08.10
連載:大阪の短い政治史を振り返る ①「橋下徹という政治家について」
大阪市政を間近で見続けた幹部の言葉
「橋下は市と労働組合との不透明な関係を徹底的に見なおした。これはプラス面だと思う。もちろん関淳一市長や平松邦夫市長も労組関係の見直しに奮闘し努力もした。
しかし、橋下以前には、大阪市の幹部といえども労組の顔色をうかがっていた。彼らを敵に回すと職員の人事異動や重要政策が実現しないからだ。
ところが橋下はまったく躊躇せず根絶やしにした。役所と労組とのイビツな関係は完全に切れた」
「ただしプラスがある反面、マイナスもある。その代表は組織マネジメントだ。
橋下の登場で、市長と職員との距離は歴代市長に比べて大きく離れた印象がある。橋下は職員とのコミュニケーションは特別顧問など、すべて他人にまかせていた。
そのため市民や職員など現場の声がどこにあるのかを橋下は肌で感じることができていなかったように思う。
やっていたのは都構想などの制度改革ばかり。ここに全パワーと多額の金を注ぎ込んだものの、肝心の足元を見ずに4年間を過ごした。
一点突破のマニアックな能力は優れているが、政令市のような巨大組織をマネジメントする能力は劣っていたように思う」
その橋下は、テレビに出演する著名人などを指して「小銭稼ぎのコメンテーター」と馬鹿にしていた過去がある。
ところが今や、その橋下自身がテレビ評論家に収まっている。コロコロと変わる彼の一貫性のなさと七変化ぶりは、11年経った今日も健在のようである。