2021.11.10
吉富 有治

橋下チルドレン新人議員たちの奮闘

2011年当時の橋下人気は凄まじく、橋下の看板さえあれば政治の素人だろうが誰でも当選すると世間は考えていた。

だが、実際の選挙戦は苦労が絶えなかったようだ。中には1つの選挙区に2、3人の候補者を立てたりと、共倒れのリスクを作り出してしまった。こうなると、複数の候補を擁立した選挙区では同じ維新でも仲間が敵なのである。

またチルドレンたちの選挙戦にも稚拙さが目立った。テープに吹き込んだ橋下知事の声を選挙カーから流すだけで、肉声で訴えるのはせいぜい自分の名前くらいという候補者もいた。維新の理念と具体的な政策を演説できるチルドレンは逆に珍しいくらいだった。

自民党あたりから維新に鞍替えした先輩議員たちもチルドレンたちには冷たかった。何せ、彼らと同じ選挙区にチルドレンが立候補しているのだ。先輩が選挙戦のノウハウを新人に教えることなど、ほぼゼロ。

維新の後援会の中にも「うちの先生がいる選挙区からは、他に維新から2人の新人が立候補している。新人が当選してベテランの先生が落選しては困る。正直、新人の選挙に協力する気はまったくない」と露骨に不快感を示す者すらいた。結局、新人候補者たちは我流で選挙運動するしかなかったのだ。

しかし、フタを開けて見ると維新は大勝利。投票率は府会議員選挙で46.46%、大阪市会議員選挙で46.42%という低さの中、府議会28名、大阪市会20名、堺市議会では6名、計54名の新人議員が一挙に誕生したのだ。

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当時の吉村洋文氏のインタビュー
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